冬のモバイルバッテリー、カイロで温めるのは避けて。手元の2台のラベルには、使える温度が書いていませんでした

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寒い日、冷えたモバイルバッテリーをカイロと一緒にポケットへ。温めたほうが電池にはよさそうに思えます。

ところが、消費者庁の資料にはこう書いてありました。

「また、寒い時期に製品をカイロや暖房器具で温めることも避けてください。」(消費者庁「リチウムイオン電池使用製品のトリセツ」2024年12月5日)

Ankerの充電器を2016年に買ってから、今年で10年。いま外にいちばん持ち出しているのは、CIOのSMARTCOBY SLIMⅡ Wireless 2.0 8Kです。

気になって、本体のラベルを見直しました。容量もWhも入出力も書いてあるのに、何℃で使えるかは、どこにも書いていません。もう1台のSS5Kも同じでした。

CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless 2.0 8K(黒)とSS5K(紫)の側面ラベル。容量・Wh・入出力は印字されているが、使用温度の記載はない
私の手元の2台のラベル。容量・Wh・入出力はあるが、使える温度の記載はない

そこで、消費者庁とNITEの資料、Anker・CIO・エレコム・無印良品の取扱説明書や商品ページを読みました。

先に結論

  • カイロや暖房器具で温めない。消費者庁が2024年の資料で呼びかけています。理由は書かれていません
  • 結露にも注意。消費者庁は、モバイルバッテリーを含むリチウムイオンバッテリーに「急激な温度変化は与えないように」と書いています
  • 使える温度の下限は、多くのメーカーで0℃。無印良品は充電を5℃からとしています。エレコムは充電と放電(給電)で下限を分けています
  • 寒いと持ちが悪くなることは各社が書いています(Anker「一時的な性能低下」、エレコム「持続時間が短くなります」)。何%減るかの数字は見つかりませんでした
  • 事故がいちばん多い月は8月、少ないのは2月と1月(NITE)。ただ、件数が少ないことは冬が安全という意味ではありません
目次

消費者庁は「カイロや暖房器具で温めることも避けて」と書いていた

出典は、消費者庁が2024年12月5日に出した「リチウムイオン電池使用製品のトリセツ」です。暖房グッズの話が中心ですが、対象はそれだけではありません。資料の紹介ページには、こうあります。

「リチウムイオン電池は、スマートフォン、ノートパソコン、モバイルバッテリー、電動アシスト自転車をはじめとして様々な製品に使われており、今や我々の生活に欠かせない製品のエネルギー源となっています。」

そのうえで、注意ポイントの5つ目「製品を安全な場所で使用・保管しましょう。」に、次の3つの文が並んでいます。

  • 「暖房器具の近く、こたつや布団の中など熱のこもりやすい場所、炎天下の車内、また、高温多湿の場所では、製品を使用・保管しないようにしましょう。」
  • 「そのような場所で使用・保管すると、内蔵されたリチウムイオン電池に異常が生じたり、性能が低下したりします。」
  • 「また、寒い時期に製品をカイロや暖房器具で温めることも避けてください。」

なぜ避けるのか、理由は書かれていません。ここは推測で埋めずにおきます。はっきりしているのは、消費者庁が「避けてください」と書いていることです。

ちなみに2つ目の文の「性能が低下したりします」は、暖房器具の近くや炎天下の車内など熱い場所の話です。寒さの話ではありません。

同じ資料には、こんな事例も載っています。

「ネット通販で電熱ベストを購入し、付属のバッテリーを充電完了後にこたつの上に置いておいたところ、煙が出て、こたつの天板が焦げた。」(消費者庁 2024年12月5日の資料の事例4。発生した年月の記載はありません)

メーカーも「熱を出すものの近く」を避けるよう書いている

  • Anker(公式マガジン):「モバイルバッテリーは極端な高温下や低温下に弱いという特徴があります。」「そのため熱を発する製品 (ドライヤー / ヒーター / 電熱ベスト等) の近くでの使用や放置は控えてください。」
  • 無印良品(MJ-MS11/MJ-MS51 の取扱説明書):使用・保管しない場所として「暖房器具の温風が当たる場所」

Ankerは一部の機種の取扱説明書で、もう一歩踏み込んでいます。

「9. 電熱ベスト・空調服の電源、ポケットに長時間入れて使用するなど、動作温度を超える状況が発生する可能性がある環境での使用をしないこと。」(Anker Nano Power Bank (5000mAh, MagGo, Slim) A1665 の安全上の注意)

電熱ベストに手持ちのバッテリーを使えるかは、電熱ベストの記事で詳しく書きました。Ankerはこの機種について、電熱ベストの電源にしないよう書いています。

結露:寒い外から戻ったら、急に温めない

同じ注意ポイントの中に、冬に効いてくる一文がもうひとつありました。

「また、リチウムイオンバッテリーは結露に弱いため、急激な温度変化は与えないようにしてください。」(消費者庁 2024年12月5日)

この資料でいう「リチウムイオンバッテリー」には、はっきりモバイルバッテリーが含まれています。「(モバイルバッテリーを含む。以下「リチウムイオンバッテリー」という。)」

では、寒い屋外から暖かい部屋に入ったら、何分待てばいいのか。公的機関にもメーカーにも、その数字は見つかりませんでした。

近いのはAnkerです。ただし文脈が違います。モバイルバッテリー自体が充電できないときの対処として、こう書いています。

「バッテリーは温度に敏感です。熱すぎたり冷たすぎたりすると安全機能が働くことがあります。常温の室内に30分~1時間ほど置き、バッテリーが室温になじんでから再度試してください。」(Anker「モバイルバッテリーのトラブルシューティングガイド」2026年7月6日)

モバイルバッテリーのシェアリング「CHARGESPOT」を運営するINFORICHは、年末年始の呼びかけで「外から室内に入ったらバッテリーが室温に馴染むまで待ってから充電してください。」と書いています(INFORICH 2025年12月24日)。こちらも時間の目安はありません。

📌 ここから言えるのは、冷えたバッテリーは急に温めず、室温になじんでから充電する、というところまでです。何分という目安は、公式には書かれていません。

何℃から使える?各社の書き方を並べた

本体のラベルに温度が書いていないなら、どこにあるのか。答えは取扱説明書や商品ページでした。ただし、書いていない機種もあります。

メーカー・製品書いてある温度(原文)書いてある場所
Anker Nano Power Bank (5000mAh, MagGo, Slim) A1665「3. 本製品の動作温度(0℃ 〜35℃)を守って使用すること。」取扱説明書(安全上の注意)
Anker Power Bank (10000mAh, 30W) A1256「・本製品の動作温度は約0℃~35℃です。電熱ベストの発熱箇所など動作温度を超える場所でのご利用はお控えください。」商品ページ
CIO SMARTCOBY Ex02「動作保証温度:0℃~35℃」取扱説明書
エレコム 半固体モバイルバッテリー DE-C83-5000BK「使用温度範囲 充電時:0℃~40℃ 放電時:-15℃~45℃」商品ページの仕様
エレコム NESTOUT DE-NEST-10000BE「動作温度 充電時:0℃~40℃、放電時:-20℃~40℃」商品ページの仕様
無印良品 MJ-MS11/MJ-MS51「充電するときは、周囲の温度が5℃ – 40℃の範囲で行なう」取扱説明書
出典:各メーカー公式(2026年9月27日確認)。原文の表記のまま載せています

読み取れることは3つあります。

  • 下限は0℃が多い。無印良品は充電を5℃からとしています
  • 0℃は、危険の境目という意味ではありません。メーカーが決めた使い方の範囲で、その外はメーカーが想定した使い方の外、ということです
  • エレコムは「充電時」と「放電時」を分けています。寒い屋外でスマホに給電できる温度と、バッテリー本体を充電できる温度は別です

⚠️ エレコムの「放電時:-15℃」「-20℃」は、スマホなどへ給電するときの温度です。充電時と放電時を分けて書いているエレコムの機種は、どれも本体の充電の下限が0℃でした。

私の2台は、取扱説明書にも数字がなかった

では、私の手元の2台はどうか。取扱説明書まで開きました。

  • SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless 2.0 8K:使える温度の範囲は書いていません。温度の記載は、ワイヤレス充電の説明の中の「25℃未満の環境での充電を推奨いたします。」や、「熱がこもりやすい環境(布団やバッグ内など)で使用しないでください。」など、暑さの側だけでした
  • SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless 2.0 SS5K:寒さについては1行だけ。「低温環境では性能が低下する場合があります」

8Kの商品ページには、ワイヤレス充電の「ハイパフォーマンスモード」の説明として「充電速度を優先。できるだけ短時間で充電を終わらせたいシーンや外気温の低い時期に最適なモードです。」とありました。

📌 これはモードの使い分けの説明で、使える温度の範囲ではありません。寒さに強い、という意味には読めません。

CIOが下限まで数字を書いていたのは、確認した取扱説明書35種類のうちSMARTCOBY Ex02の「動作保証温度:0℃~35℃」だけでした。(画像だけの取扱説明書は文字起こしして探したので、見落としがゼロとは言い切れません)

寒いと減りが早い?メーカーはこう書いている

Ankerの記事は、スマホなどを含むバッテリー全般についての説明です。

「寒いと容量が何%減る」という数字は、モバイルバッテリーの公式資料には見つかりませんでした。

CIOは公式の安全ページ(2026年1月22日更新)で、減り方とは別の注意も書いています。

「真夏の車内など、高温環境はもちろんのこと、低温環境下での使用はセルに負担がかかり、モバイルバッテリーの劣化状況によっては膨張・異常発熱につながることがあります。」

「劣化状況によっては」という条件つきです。寒さだけで膨らむ、という書き方ではありません。

充電される側のiPhoneも、寒さで止まることがある

モバイルバッテリーで充電するiPhoneについては、Appleがはっきり書いています。

  • 「iPhone/iPadデバイスは周辺温度が0℃~35℃の場所で使用するように設計されています。」
  • 「iOS/iPadOSデバイスは、低温になりすぎると充電されなくなったり、充電が停止したりすることがあります。」
  • 「動作温度を下回る極端な低温下でiOS/iPadOSデバイスを使うと、バッテリーの消耗が一時的に早くなったりデバイスの電源が切れたりすることがあります。より温度の高い場所にデバイスを戻すと、バッテリーの駆動時間も通常の状態に戻ります。」

冷えすぎたときの対処は「デバイスが冷えすぎた場合は、暖かい場所に移してください。」(Apple サポート)。

📌 Appleの対処は「暖かい場所に移す」です。カイロや暖房器具を当てる話ではありません。

事故がいちばん多いのは8月。では冬は?

NITE(製品評価技術基盤機構)の2026年7月15日の資料です。

「事故発生件数は春から夏にかけて気温の上昇とともに増加する傾向を示しており、8月にピークを迎えます。」(NITE 2026年7月15日)

対象は、2021〜2025年にNITEに通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故2140件。そのうちモバイルバッテリーは506件でした。

月事故の件数
8月(いちばん多い)275件
12月149件
1月115件
2月(いちばん少ない)95件
出典:NITE 2026年7月15日の資料の図2を当サイトで転記。リチウムイオン電池搭載製品すべての月別件数で、モバイルバッテリーだけの月別件数は公表されていません

冬の月は、1年でいちばん少ない側でした。

一方、消費者庁の2024年の資料には「12月が最多」という数字があります。

「68 件のうち、事故発生月が判明している 43 件について見ると、冬季に事故が多い傾向があり、12 月が 12 件と最も多くなっています(図8)。」

ただしこれは、電熱ウェアや電気ブランケットなどリチウムイオン電池を使って暖をとる製品の事故情報68件の話で、分類に「モバイルバッテリー」はありません。12月の12件のうち、電池が原因と考えられるものは4件でした(同じ資料の図8より)。

⚠️ NITEの数字で冬の件数が少ないからといって、冬が安全という意味ではありません。使われている量で割った数字ではないからです。

NITEは2020年1月23日の資料で、異常が生じるおそれがある状態の1つに「□ 冬場の車内などの低温となる場所に長時間放置した。」を挙げていました。6年以上前の資料ですが、冬の車内に置きっぱなしにしない理由にはなります。

まとめ:冬のモバイルバッテリー、5つの注意

  • カイロや暖房器具で温めない(消費者庁)
  • 暖房器具の近く、こたつや布団の中で使わない・しまわない(消費者庁)
  • 寒い外から戻ったら、急に温めない(消費者庁の結露の注意)
  • 充電は取扱説明書の温度の範囲で(多くは0℃から、無印良品は5℃から)
  • 冬の車内に長く置きっぱなしにしない(NITE 2020年の資料)

ラベルに温度が書いていないなら、取扱説明書を一度開いてみてください。私の8Kのように、数字が書いていない機種もあります。その場合は、上の5つが目安になります。

夏の熱対策はスマホの高温注意の記事に、膨らんでしまったときの対処はモバイルバッテリーが膨らんだらにまとめています。冬の暖房グッズは、充電式カイロと充電式湯たんぽの記事もどうぞ。

※この記事は2026年9月27日に確認した、消費者庁・NITEの資料と、メーカー公式の記載にもとづいています。2026〜2027年の冬に向けた注意喚起は、この時点ではまだ出ていません。出たら追記します。

モバイルバッテリーをカイロで温めてもいいですか?

消費者庁は2024年12月5日の資料で「また、寒い時期に製品をカイロや暖房器具で温めることも避けてください。」と書いています。理由は書かれていませんが、温めるのは避けるよう案内されています。スマホについては、Appleが冷えすぎたときの対処として「暖かい場所に移してください。」と書いています。

冬の屋外でモバイルバッテリーを使っても大丈夫ですか?

各社が書いている温度の範囲で使ってください。確認した範囲では下限を0℃とする機種が多く、無印良品は充電を5℃からとしています。エレコムの一部の機種は、放電時(給電するとき)を-15℃や-20℃まで、充電時を0℃からと分けて書いています。

0℃以下でモバイルバッテリーを充電するとどうなりますか?

「0℃以下では充電しないでください」という文言そのものは、確認した公式資料には見つかりませんでした。ただ、無印良品は「充電するときは、周囲の温度が5℃ – 40℃の範囲で行なう」と書き、エレコムは充電時の温度を0℃からとしています。範囲の外は、メーカーが想定した使い方の外です。

寒いとモバイルバッテリーの減りが早くなりますか?

メーカーはそう書いています。Ankerは「一時的な性能低下」、エレコムは「※周囲温度が低い環境では、持続時間が短くなります。」、CIOはSS5Kの取扱説明書で「低温環境では性能が低下する場合があります」。何%減るかという数字は、公式資料には見つかりませんでした。

寒い外から帰ってすぐ、モバイルバッテリーを充電してもいいですか?

消費者庁は「また、リチウムイオンバッテリーは結露に弱いため、急激な温度変化は与えないようにしてください。」と書いています。何分待てばよいかの公式な目安は見つかりませんでした。CHARGESPOTを運営するINFORICHは、室温に馴染むまで待ってから充電するよう呼びかけています。

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