安全寄りのモバイルバッテリーはどう選ぶ?10月の新製品3つ、ほぼ同じ電気の量で重さは115g〜195gでした

Ankerの充電器を2016年から、CIOは2022年から使ってきました。そんな私でも、10月は迷う月でした。「安全」を前に出した新製品が、続けて3つ出たからです。
3製品とも私は持っていません。公式の資料と販売ページから比べます。使った感想も、測った数字も、この記事にはありません。
並べたのは、エレコムのリン酸鉄モバイルバッテリー、iFaceの半固体モバイルバッテリー SafePaq、CIO Mate Powerbank004 の3つ。電池の方式は、リン酸鉄・半固体・方式の記載なしと、きれいに3通りに分かれました。
先に結論(2026年10月21日に確認)
- いちばん小さいモデル同士は、電気の量がほぼ同じ約18〜19Wh。なのに重さはCIO約115g・iFace約146g・エレコム約195g
- 方式はエレコム=リン酸鉄、iFace=半固体、CIO 004=資料の記載は「リチウムイオン」だけ
- 回数の目安は約2,000サイクル・約500回・約300回。ただし数え方の条件は3社でそろっていない
- 使う温度の書き方も別。エレコムは充電0℃から・放電−10℃から、iFaceは5〜35℃の屋内、CIO 004は読んだ資料に記載なし
- 価格はエレコム6,000mAhがAmazonで3,590円、CIO 004が3,980円(11月6日発売予定の予約)、iFace 5000mAhが6,380円(すべて税込)

同じ「安全」でも、書いてあることは会社ごとにバラバラなんだにゃ
結論:こんな人にはこの1台
何を重く見るかで、3つはきれいに分かれます。公式の数字から読める範囲で、早見にしました。
- 電池の長持ちと、寒い外でのスマホへの給電を重く見る → エレコム リン酸鉄(約2,000サイクル・放電は−10℃から)
- 半固体の電池で、色も選びたい → iFace SafePaq(全16色・釘刺し試験の注記つき)
- とにかく軽く、ケーブルなしで挿したい(USB-Cのスマホ)→ CIO Mate Powerbank004(約115g)
- ノートPCにも少し足したい → エレコムの8,000mAh(35W)か12,000mAh(45W)
- 2台を同時に速く充電したい → どれも小さいモデルは合計15W。向いていない
逆に、「どれがいちばん安全か」は、この3つの資料からは決められません。理由は、各社が書いている試験や条件がそろっていないからです。ここは後で詳しく書きます。
3製品の比較表:いちばん小さいモデル同士
同じくらいの電気の量のモデルで並べました。数字は各社の発表・公式ページ・販売ページにあるものだけで、資料に無いところは「記載なし」にしています。
| エレコム 6,000mAh | iFace 5000mAh | CIO 004 | |
|---|---|---|---|
| 電池(各社の表記) | リン酸鉄リチウムイオン電池 | 半固体リチウムイオン電池 | リチウムイオン(Amazonの商品情報) |
| 電気の量 | 19.2Wh(3.2V) | 19.25Wh(3.85V) | 18.25Wh(3.65V) |
| 重さ | 約195g | 約146g | 約115g |
| USB-Cの最大 | 20W | 20W | 20W(PPS 22W) |
| 2台同時 | 合計15W | —(1ポート) | 合計15W |
| 回数の目安 | 約2,000サイクル | 約500回 | 約300回 |
| 使う温度 | 充電0〜40℃/放電−10〜40℃ | 5〜35℃の屋内 | 記載なし |
| 価格(税込) | 3,590円(Amazon) | 6,380円 | 3,980円(予約) |
| 発売 | 10月中旬 | 10月14日 | 11月6日予定 |
iFaceの5000mAhの重さは、公式ページのスペック欄に約141gという数字もあります(iFace SafePaqの記事)。表は商品仕様の約146gにしました。
mAhだけで比べると見誤ります。エレコムは6,000mAhと数字が大きいのに、電池の電圧が3.2Vと低いので、電気の量(Wh)は5000mAhの2つとほぼ同じです。mAhとWhの読み方は5000mAhと10000mAhの違いの記事にまとめています。
「安全」の書き方は3社でこんなに違う
3社とも「安全」を書いていますが、何を根拠にしているかが違います。主語をはっきりさせて、順に並べます。
エレコム:リン酸鉄の性質と、本体の監視機能
エレコムは発表で「LFP電池は、発火しにくく安全性に優れ、長寿命なのが特長で、電気自動車にも採用されています。」と説明しています。
本体の仕組みとしては「本体の温度を監視・制御する機能や、異常を検知すると自動で動作を停止する機能も備えた安心設計です。」。充放電の回数でLEDの色が変わる「Health Monitor」も付いています。法律の面では「日本の電気用品安全法(PSE)の技術基準に適合した安全性の高い製品です。」と書いています。
iFace:半固体の電池と、釘刺し試験
iFaceを出すHameeは、発表で「内部の電解液をゲル状にかためた半固体リチウムイオン電池を採用しました。」と説明。電池に釘を刺す「釘刺し試験(内部短絡試験)」をクリアし、温度監視システムを載せた、としています。
大事なのはその注記です。「※釘刺し試験は、搭載されているバッテリーセル単体における試験結果です。」。試験したのは中の電池(セル)で、組み上げた製品そのものではない、と読めます。公式ページは「発火・液漏れ・膨張のリスクを抑制し、日常で安心して使えます。」という書き方です。
CIO Mate Powerbank004:方式はうたっていない。書いてあるのはPSEと交換式の端子
Powerbank004の資料には、半固体やリン酸鉄のような電池の方式の記載がありません。Amazonの商品情報の「電池の種類」はリチウムイオン。楽天の仕様欄には「PSマークの種類:丸形PSE」とあります。
CIOが書いているのは、端子の作りのほうです。内蔵のUSB-C端子は交換式で、発表では「万が一端子が劣化・破損した場合も、新しい端子に交換して使い続けられる設計です。」。CIOには「半固体系」と呼ぶ別のシリーズがあり、違いはCIOのSS10K・SS5Kの記事で書きました。004はそちらの言葉を使っていません。
- エレコム:リン酸鉄は「発火しにくい」(エレコムの説明)+温度の監視・異常時の停止・PSEの技術基準に適合
- iFace:半固体の電池+釘刺し試験クリア(セル単体の試験と注記)+温度監視システム
- CIO 004:電池の方式の記載なし。丸形PSE+交換式の端子
- 3社とも「燃えない」とは書いていない

「しにくい」と「しない」は別物にゃ。注記まで読むのが大事にゃ
リン酸鉄と半固体の一般的な違いは半固体とリン酸鉄の比較記事で整理しています。この記事は、10月に出た3製品の資料の書き方に絞って比べています。
選び方の軸1:重さ。同じ電気の量で80g違う
いちばん差が大きいのは重さです。電気の量は18.25〜19.25Whの範囲に収まっているのに、軽いCIO 004(約115g)と重いエレコム6,000mAh(約195g)では80gの差。
重さの差の理由は、各社の資料には書かれていません。書いてあるのは構成で、エレコムの6,000mAhは3.2V/3,000mAhの電池を2本使う形です。軽さを最優先にするなら、方式より先に重さの行を見るのが早道です。
大きいモデルも出ています。エレコムは8,000mAh(25.6Wh・約255g)と12,000mAh(38.4Wh・約360g)。iFaceは10000mAh(約252g)。CIO 004は5000mAhだけです。iFaceの10000mAhは、公式資料にWhの数字がありません(構成は5,000mAh 3.85V×2の直列)。
選び方の軸2:出力。小さいモデルはどれも20W
いちばん小さいモデル同士なら、USB-Cの最大はどれも20Wです。CIO 004だけPPSで最大22Wの記載があります。
- エレコム 6,000mAh:USB-CはPD最大20W。商品名の22.5WはHUAWEI機器のみの対応(エレコムの発表)。2台同時は合計15W、PPSは非対応
- iFace 5000mAh:USB-Cの1ポートで最大20W。10000mAhは1台なら30W、2台同時だと合計15W
- CIO 004:本体の端子とUSB-Cポートは、どちらも最大20W。2台同時は合計15W
ノートPCまで考えるなら、エレコムの8,000mAh(USB-C単独で35W)と12,000mAh(45W)が候補です。ただし2台以上つなぐと合計20Wになる、とエレコムは書いています。
選び方の軸3:回数と温度は「書き方」まで読む
回数の目安は約2,000サイクル・約500回・約300回。数字だけ見ると大差ですが、各社の注記を読むと、数え方の前提が違います。
| 回数の目安 | 注記 | |
|---|---|---|
| エレコム | 約2,000サイクル | JIS C 8711の試験条件に基づく |
| iFace | 約500回 | 使用環境により異なる |
| CIO 004 | 約300回 | メーカーが想定する目安 |
エレコムは「※1:JIS C 8711のサイクル寿命試験条件に基づく数値です。」、iFaceは「※充放電サイクルは急速充電のご使用回数など、実際の使用環境により異なります。」、CIOは「※メーカーが想定する充放電回数の目安です。」。条件がそろっていないので、何倍長持ちとは言えません。
温度も同じです。エレコムは「充電時:0℃~40℃/放電時:-10℃~40℃」で、−10℃まで書いてあるのは放電(スマホへの給電)の側だけ。iFaceの商品ページは「5℃から 35℃の屋内環境でご使用ください。」。CIO 004は、私が読んだ資料(発表・楽天・Amazon)に使用温度の記載がありませんでした。
寒い時期の扱いは冬のモバイルバッテリーの記事にまとめています。消費者庁は、寒い時期に製品をカイロや暖房器具で温めることも避けるよう呼びかけています。
選び方の軸4:価格と、いつ手に入るか(10月21日確認)
買える時期が3つでずれています。エレコムとiFaceは発売済み、CIO 004は予約の段階です。
| 製品 | 価格(税込) | 10月21日の表示 |
|---|---|---|
| エレコム 6,000mAh(EC-C72LBK) | Amazon 3,590円 | 購入できる(入荷予定あり) |
| エレコム 8,000mAh(EC-C73LBK) | Amazon 4,789円/楽天 5,270円 | Amazon・楽天とも購入できる |
| エレコム 12,000mAh(EC-C74LBK) | Amazon 5,690円 | 通常1〜2か月以内に発送 |
| iFace SafePaq 5000mAh | 6,380円 | Amazon・楽天とも在庫あり |
| iFace SafePaq 10000mAh | 8,580円 | Amazon・楽天とも在庫あり |
| CIO Mate Powerbank004 | 3,980円 | 予約受付中・11月6日発売予定 |
エレコムのAmazonは、10月19日の個別記事の時点では3つとも在庫切れでしたが、21日には6,000mAhと8,000mAhが購入できる表示に変わっていました。在庫は日々動くので、リンク先で確かめてください。
買う前のチェックリスト:NITEの「3つのC」
方式より先に、確かめられることがあります。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2021〜2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件で、製品別ではモバイルバッテリーがいちばん多く、事故は8月にピークを迎えます(NITEの発表)。
経済産業省や環境省などの関係省庁が連携して呼びかけているのが「3つのC」。NITEの発表では、選ぶときの項目は「購入前に、販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報を確認する」と「表示マークが適切か確認する」です。3製品に当てはめると、こうなります。
- 売っている会社がはっきりしているか:エレコムはエレコム株式会社、iFaceはHamee株式会社の発表。CIO 004は楽天の商品ページに「届出事業者名:株式会社CIO」
- PSEの表示:エレコムは「PSEの技術基準に適合」、iFaceはAmazonの商品名に「PSE認証済」、CIO 004は「丸形PSE」
- 使う場所の注意が書いてあるか:iFaceは「本製品はポケットやバッグ、布団の中などで使用しないでください。熱がこもり、火災や故障の原因となります。」
- 捨て方が書いてあるか:エレコムはJBRCの回収対象と明記。iFaceは膨らんだ電池の扱いを注記
使い方のほうでは、NITEは「高温となる場所では使用・保管しない」ことを挙げています。どの方式の電池でも、ここは同じです。
捨てるとき・飛行機に持って行くとき
捨てるときの書き方も、3社で違います。エレコムは「本製品は、一般社団法人JBRCの回収対象製品であり、回収協力自治体や協力店(家電量販店・ホームセンターなど)で回収が可能です。」。iFaceは「※膨張したバッテリーは回収できない場合があります。お問い合わせ窓口までご連絡ください。」と注記しています。
JBRCは、膨らんだ・壊れた・水に濡れた電池を回収ボックスの対象外にしています。膨らんだときの手順はモバイルバッテリーが膨らんだときの記事にまとめました。
飛行機は、3製品とも電気の量が100Whよりずっと下です(いちばん大きいエレコム12,000mAhでも38.4Wh)。国土交通省の告示では、モバイルバッテリーは預け入れ荷物に入れられず、機内持ち込みは2個まで。機内でモバイルバッテリー本体を充電しないことも決まっていて、他の機器への充電もしないよう国交省が呼びかけています。航空会社ごとのルールは飛行機のモバイルバッテリーのルールの記事で確かめてください。
3製品の個別記事
この記事は3本の個別記事のまとめ役です。型番の違いや細かい注意点は、それぞれの記事に書いています。
- エレコムのリン酸鉄モバイルバッテリー:DE型番とEC型番の違い、6,000mAhだけ別仕様の出力、−10℃が放電だけの話
- iFace SafePaq(半固体):10000mAhの2台同時15W、釘刺し試験の注記、5000mAhの重さが2通りある話
- CIO Mate Powerbank004:挿すだけの作り、ケースの厚み5mmの注意、先代Powerbank003との違い
販売ページ
価格と在庫は2026年10月21日に確認したものです。変わることがあるので、リンク先で確かめてください。
エレコム リン酸鉄モバイルバッテリー 8,000mAh(ケーブルなし・EC-C73LBK)
iFace SafePaq 半固体モバイルバッテリー 5000mAh(全16色)
iFace SafePaq 半固体モバイルバッテリー 10000mAh(全16色)
CIO Mate Powerbank004(5000mAh・折りたたみ式USB-C端子内蔵・予約)
まとめ
- 10月の新製品3つは、方式がリン酸鉄(エレコム)・半固体(iFace)・記載なし(CIO 004)に分かれた
- 小さいモデル同士は電気の量が約18〜19Whでほぼ同じ。重さは約115g〜約195g
- 回数の目安(約2,000・約500・約300)と使う温度は、各社の条件がそろっていないので単純に比べない
- 「安全」の根拠は、エレコム=電池の性質と監視機能、iFace=半固体と釘刺し試験(セル単体)、CIO 004=PSEと交換式の端子
- 価格は3,590円・3,980円(予約)・6,380円(税込・10月21日確認)
どれを選んでも、「燃えない電池」ではありません。方式で選ぶなら注記まで読み、そのうえで重さと出力、使う温度の条件が自分の使い方に合うかで決めるのが、資料から言えるいちばん確かな選び方です。
※この記事は2026年10月21日までに確認した、エレコム株式会社・Hamee株式会社・株式会社CIOのプレスリリース、iFace公式ページ、Amazon・楽天の商品ページ、NITEの発表の記載にもとづいています。3製品とも所有していないため、使用感や実際の充電の速さ・重さは書いていません。
よくある質問
この3製品の資料からは決められません。エレコムはリン酸鉄を「発火しにくく安全性に優れ」と説明し、iFaceは釘刺し試験をクリアした半固体の電池と書いていますが、iFaceの試験は電池セル単体の結果と注記されています。試験の条件がそろっていないので、優劣は言い切れません。
資料に半固体やリン酸鉄の記載はありません。Amazonの商品情報の電池の種類はリチウムイオンで、楽天の仕様欄にはPSマークの種類が丸形PSEと書かれています。CIOの半固体系は別のシリーズです。
いちばん小さいモデル同士では、CIO Mate Powerbank004の約115gです。iFace SafePaq 5000mAhは約146g、エレコムの6,000mAhは約195gで、電気の量はどれも約18〜19Whです。
エレコムは放電(スマホへの給電)が−10℃から、本体の充電は0℃からと書いています。iFaceは5〜35℃の屋内での使用としています。CIO 004は、読んだ資料に使用温度の記載がありませんでした。
3製品とも電気の量は100Whより下です。国土交通省の告示では、モバイルバッテリーは預け入れ荷物に入れられず、機内持ち込みは2個までです。機内でモバイルバッテリー本体を充電しないことも決まっています。航空会社のルールも確認してください。